RISE@香港 2018 レポート

7/9〜12の4日間、香港で開催されたRISEに参加してきたので、その様子をざっくりレポートします。

What’s RISE?

2016年に初めて開催され、今年で3回目となるテックイベント。2009年にスタートし、世界最大のテックイベントと称されるWeb Summitからアジア版として派生した模様。

イベントのフレームはWeb Summitを踏襲しており、

  • 4つの大ステージで開かれるトークセッション
  • 企業スポンサードのワークショップ
  • スタートアップ企業の展示ブース

が主なコンテンツになっていた。

South by Southwest(SXSW)等のイベントとおおよそ似た構成だが、SXSWはプロダクトの披露がメインのお祭りイベントなのに対して、RISEは投資家とのマッチングはもちろん、急拡大マーケットのど真ん中で実際にビジネスのグロースを狙った鼻息の荒い参加者が多い印象だった。

印象的だったセッション

The China Internet Report

“Visible Hand”

アダム・スミスが提唱した「見えざる手」の理論に対し、中国では政府が方針を明らかにし、その通りに経済が動いていく。そのため、AIなど国の注力分野が非常に力強く急速に成長している。

日本で起きている「AIブーム」とは異次元のレベルで成長している。

From Tinder to Investor: The Story of Sean Rad

“You really have to love what you do”

The Next Frontier of Artificial Intelligence

中国搜狗社が開発するAIを使い、中国語のスピーチをリアルタイムに音声認識&英語翻訳し、英語の字幕がスクリーンに映し出されていた。

Building a Billion Dollar Company

“Traditional Smartphone”

折り曲げることのできるスマートフォンを手首に巻きながら、一般的なスマートフォンを過去のものとして語っていた。

日本からは、LINEの出澤氏とmixiの多留氏が登壇されていた。が、その他のスピーカーが大きなビジョンや最先端の技術を披露していたのと比較すると、既存事業のカイゼン計画程度のスケールに留まっており、インパクトに欠けているように感じた。せめてプレゼンは英語で行って欲しかった。

(同時通訳は入っていたものの、日本語でプレゼンが始まった瞬間に席を立つ来場者が多かった)

会場の様子

展示ブース

正確な数は把握していないが、おそらく100枠以上のブースに3日間日替わりでスタートアップ企業が入り、各々サービスのデモを行っていた。

地元香港の企業を中心に、アジア諸国の企業が多くを占めていたが、アメリカやヨーロッパ、特に南米や東欧の企業も多く出展していた。残念ながらその中に日本の企業を見つけることはできなかった。

アメリカORIG3N社のブースでは、無料でDNA検査を受けることができ、多くの人が集まっていた。後日専用のアプリに検査結果が送られてくるようなので楽しみ。

ワークショップ

Amazonは専用のワークショップスペースで絶えず開発者向けのawsワークショップを行っていた。

BRIGHTLINEによる、アイデアをアイデアで終わらせずに実行まで落とし込むためのワークショップに参加したが、耳の痛い内容が満載の有益なワークショップだった。

驚くことに彼らはそれらのリソースを無償で配布している。興味のある方はぜひアクセスしてみて欲しい。

Brightline Initiative | Bridging The Gap Between Strategy Design and Delivery

海外の大学や機関では同様に有益なリソースを無償で配布するケースが増えているが、もちろん全て英語で書かれている。英語を読めるのと読めないのでは、アクセスできる情報に大きな格差があることを再認識させられた。

ネットワーキング

RISEではネットワーキング(人脈形成)にもかなり力を入れている印象を受けた。

首に掛ける参加証にプリントされたQRコードを専用のアプリで読み取ると、簡単にコンタクト登録することができる仕組みになっており、会場のいたるところでスキャンする姿を見かけた。もう名刺交換の時代は終わったのかもしれない。

また、Night Summitと称して公式のネットワーキングパーティーが毎晩蘭桂坊(ランカイフォン)エリアで開催されていた。前夜祭では参加者を複数のグループに分け、一定時間毎に次の会場に移動して多くの参加者と知り合う仕組みになっている。

アルコールが回ると次第に移動が滞り、最後にはそのエリアの路上全体がパーティー会場と化していた。

世界中のスタートアップが集まり、国籍関係なく交流しているしている様子を見ていると、まさにこれからアジア市場が世界の中心になっていくのだなと感慨深かった。

残念ながらここでも日本人には一人も出会わなかった。

イケているポイント

国内でも多くのイベントが開催されているが、それらと比べて優れているUXをいくつかピックアップしてみた。

専用アプリ
他のグローバルイベントでも一般的になりつつあるが、やはりトークセッションのスケジュールや登壇者の情報を見たり、参加者同士で繋がったり、スマートフォンのアプリでできてしまうのは非常に便利。
未だにひたすら名刺交換を求められる国内のイベントはぜひ導入して欲しい。
メルマガ
当日のカンファレンスのまとめやお得な情報が、必要な情報を適切なタイミングで、さらにビジュアルを駆使したメールで送られてくるので、鬱陶しいという感覚が全くなかった。
動画アーカイブ
メインステージで行われたセッションが全てYouTubeにアップされている。参加者だけにしか見せないといったようなケチくさいことは言わず、有益なコンテンツを多くの人に公開し、本気でマーケットを盛り上げていこうという気概が素晴らしい。
RISE 公式YouTubeチャンネル
告知
会期が終わった途端、Webサイトは来年度の募集に切り替わり、先行割引チケットのお知らせが届いた。もちろん最もテンションが上がっているタイミングなので、「来年も行くぞ!」と申し込んでしまいそうになる。来年は行くなら出展社、もしくは登壇者として行きたいと思うので、まだ検討中ではあるが。

まとめ

RISEのために久々に香港に滞在したが、急拡大マーケットであるアジアの中心に世界中から人が集まり、非常に高い熱量を感じた。

一方、そこにほとんど日本人や日本企業の姿はなく、存在感の無さに大きな危機感を感じた。欧米諸国に「視察」に行くのは構わないが、忘れてはならないのは日本もアジア諸国の一つであり、目の前に巨大なマーケットが存在していることだ。

縮小する国内市場に閉じこもり、欧米の5年落ちのビジネスモデルでパイの奪い合いをすることはそろそろ終わりにし、自分達の持っている価値を見直し、アジア及びグローバル市場の中でどういう役割を担っていくのかを考える必要があるのではないだろうか?

ビジネスにおける視野の広さをレンズに置き換えて考えてみた

普段仕事をしていると、同じゴールに向かっているはずなんだけど全く話がかみ合わないなと思うことがしばしばある。見ている方角は同じなんだけど、おそらく見えている景色が異なっているのだろう。

それは、人によって視野の広さや焦点の深さがバラバラなことに起因していると思われる。

写真好きな方ならおわかりいただけると思うが、カメラを同じ方向に向けていても、取り付けるレンズの種類、絞りやシャッター速度によって撮れる写真は全く異なる。

同じようなことが日常生活やビジネスにおいても起きているのではないだろうか?

Embed from Getty Images

カメラのレンズはおおよそ下記の4つに分けられる。

  • 標準レンズ
  • 広角レンズ
  • 望遠レンズ
  • マクロレンズ

参考: 個人的に愛用しているSIGMAレンズ

これらをビジネスにおける視点に置き換えると、ざっくりこんな感じだろうか。

標準レンズ
原寸大の人間として自分や相手の心を見つめる視点
広角レンズ
ステイクホルダーを幅広く見渡し、全体最適化を目指す視点
望遠レンズ
未来を見通してチャンスやリスクを先読みする視点
マクロレンズ
物事を緻密に分析し、細部に宿る神を呼び起こす視点

いずれかのレンズに優劣があるわけではなく、見るべき対象によってレンズを換えてあげる必要がある。

ビジネスの現場においては、役割や職種によって主に使うレンズが異なってくる。

例えば、エンジニアや研究者であればマクロレンズを使うことが多く、マーケティングや広報に関わる人であれば広角レンズを使うことが多い。経営者やデザイナーは全てのレンズをバランスよく使う必要がある。

そしてどの役割であっても標準レンズが基本で、全員が持っている必要がある。

見ている方角は同じだけど見えている景色が異なっている問題は、レンズが異なれば当然生じてしまう。人によって持っているレンズの種類も異なるし、シーンによってレンズを付け替えるのも経験とテクニックを要する。

Embed from Getty Images

では、そのような前提でどうすれば話がかみ合うようになるか?

理想的には、全員が同じ種類のレンズを全て揃えることだが、それは現実的ではないので以下の2つの方法を考えてみた。

現像した写真をもとに話をする
各個人の見えている景色は異なるという前提で、それぞれ見えている風景を現像・プリントして他人にも見えるようにする。実際には、感じていること考えていることを、文章や絵、あるいは映像にすることで全員が同じ絵を見て話すことができるようになるはず。
標準レンズで見える風景をもとに話をする
あえて使うレンズの種類を限定し、全員が持っている標準レンズを使うことでおおよそ同じ風景が見えるようになるはず。役割や職種の違いを一旦忘れて、1人の人間としてどう考えるかを話し合えば大きくすれ違うことはかなり減らせるのではないだろうか。

大前提として、自分のレンズでは見えていない世界が常に存在していることを謙虚に認めることも忘れずに。

 

まずはこれらの方法で話がかみ合う環境をつくりつつ、各個人の成長のためには使えるレンズの種類を増やすことも考えなくてはならない。

自分の経験では、視野の広さは周りにいる人たちのレンズによって大きく影響される。視野の広い人のそばにいれば徐々に視野が広がり、その逆もまた然り。新しいレンズを手に入れるためには、そのレンズを持っている人に近づくのがいいと思う。

その際に気を付けなくてはならないのは、目と同じでずっと近くを見ていると近視になってしまう。周りを見渡したり、遠くを見たり、常に視点を動かし続けよう。

さらに、組織全体で視野を拡げていくためには、相手に欠けている視点がある場合には面倒くさがらずに指摘し、それを素直に受け入れられるオープンでフラットな関係性をつくることが基本ではないだろうか。

自分自身も自分のレンズに頼り過ぎることなく、メンバーの視点も複眼的に活用していくよう自戒を込めて。

 

p.s. 明るい標準ズームレンズが欲しいです!

イノベーター・ジャパン 2017

この記事はイノベーター・ジャパンAdvent Calendar 2017の12/25(最終日)の記事です。

 

皆さん、年の瀬いかがお過ごしでしょうか。

毎週更新を目標としていたこのブログも、気が付けば半年も更新が止まっており、社員から「自転車ネタばっかりじゃないですか!」と突っ込まれる始末。

クライアントや大学院の院生さんに対して「オウンドメディアとは」なんということを偉そうに述べておりますが、紺屋の白袴もいいところです。

さて、せっかくの機会なのでイノベーター・ジャパンにとっての2017年をざっと振り返りつつ、来年の展望について書いてみたいと思います。

2017年の振り返り

年が明けたと思ったらもう年末になっている、と感じるほど時が過ぎるのが早い年でした。しかし、その中でもイノベーター・ジャパンにとって重要な変化がいくつも起きており、文字通りターニングポイントとなる年だったと思います。

産みの苦しみ

イノベーター・ジャパンでは、Open Media Suite(仮称)と題して、コミュニティ化する企業活動を支えるためのプラットフォームとなるソフトウェアを開発しています。

本来は今年の春頃にはリリースする予定だったのですが、開発が大幅に遅れており、現在も当社の精鋭メンバーとパートナーさん達が鋭意開発中です。(お待たせしているクライアントさんには本当に申し訳ないです。)

これまでもtenpuwarikanなどいくつかサービスをリリースしてきたのですが、規模も難易度も何倍も高く、全社のエネルギーを注いでもまだ産み切れてない状況です。

つくるべきものが決まっているクライアントワークと異なり、要件から自分達で決めていかないといけない自社プロダクト開発は、まさにレールの無いところを走るようなもの。消費するエネルギーは非常に大きいですが、その分走りきった時に得られるものも果てしなく大きいはず。

イノベーター・ジャパンの4つのバリューを体現する代表的なプロジェクトになって欲しいと思ってます。

メンバーとの別れ

今年、イノベーター・ジャパンにとって最も大きい変化はなんと言ってもメンバーの退職が連続したことでしょう。

創業期からイノベーター・ジャパンを支えてきたメンバーや部門のリーダーなど、比較的重要なポジションに就いていたメンバーが立て続けに社を去りました。

メンバーとの別れは、何度経験しても大変辛いものです。しかし一方で、組織が成長する過程の変化として避けられないものだとも考えています。

組織と人はそれぞれポテンシャルを開花させつつ成長し続けるものであり、両者の成長タイミングが合えば最高なのですが、そうでない場合は無理をせずに環境を変えた方がお互いにハッピーなのかもしれません。

幸いにもイノベーター・ジャパンは退職したメンバーとも良好な関係を保つことができており、過去にいたメンバー達が力を貸してくれたことで今回のピンチも乗り切ることができました。

また同時に、残ったメンバーが大きく成長することができたのではないかと思います。あるメンバーは危機を乗り切るためにマネジメント能力が急速に発達したり、あるメンバーは業務の効率化を図り生産性をこれまでより2倍近く上げたり。

奇しくもイノベーター・ジャパンにGROOVEを生むことができ、間違いなくイノベーター・ジャパンの歴史のワンシーンになると思います。

新メンバー加入

メンバーとの別れの一方で、多くのメンバーが新しくイノベーター・ジャパンに加わりました。

みんな本当に実力のあるメンバーばかりで、入社早々重要な業務を遂行し、同時に組織全体を進化させてくれています。

一昔前のイノベーター・ジャパンでは募集をかけてもそのような人材は採用できていなかったと思います。そういう意味では、当社も着実に成長・進化してきているのだなと感慨深いです。

また、今年はついに日本語がわからない外国人を複数名採用しました。これまでも外国籍のメンバーはいたのですが、皆さん日本語が流暢で、日本人よりも日本人らしい面もあり、外国人が在籍しているという意識はほとんどありませんでした。

当社のポリシーとして、ドメスティックオンリーのサービスはつくらないと決めています。インターネットの最大のメリットはボーダーレスであることであり、それを生かさないドメスティックサービスは遅かれ早かれ駆逐されるという法則があるからです。

グローバルなサービスをつくるためには、当然のことながら日本人だけのチームでは絶対無理で、グローバルチームが必要不可欠だと考えています。今年イノベーター・ジャパンは理想のチームに向けて大きな一歩を踏み出しました。

まだ社内は一部ソワソワした感じもありますが、確実にプラスの変化が起き始めていると実感しています。

英語能力が低い人間が、日本語をほとんど話せない外国人のメンターになった話 – ウェブとすっぽん

新たなチャレンジ

今年は、メンバーの成長や新メンバーの加入により、昨年よりも多くのことにチャレンジできるようになりました。

一部業務を郊外に移管することで職住近接のオフィスを実現し、子育て中のママたちのポテンシャルを引き出す、というテーマでしばらく構想していた&donutsプロジェクトも今年ついに柏の葉でスタートしました。

&donutsプロジェクト | GROOVE

今や8人のママたちがイノベーター・ジャパンの重要な戦力として働いてくれており、さらに多くの方々からご応募いただいています。

また、長年積み重ねて複雑化していたシステムや、クライアントとの関係にも思い切ってメスを入れ、一時的にダメージを負ってでもより良い将来のために前進する、ということを積極的に行うことができました。

どんなチャレンジもリスクがあるからこそチャレンジなのであり、リスクを負う覚悟と体力があるからこそチャレンジすることができます。

イノベーター・ジャパンは旧来の「会社」ではなく、チャレンジし続けるためのプラットフォームである、という理想に徐々に近づいてきています。

2018年に向けて

年が明けても、新年度になっても、ミッションとバリューは何ら変わることはありません。

イノベーター・ジャパンのミッション

人や組織のポテンシャルを最大限に引き出すことで、豊かな社会を実現します。

イノベーター・ジャパンのバリュー

LOVE・CHAOS・GROOVE・ENJOY

イノベーター・ジャパンで大切にしていること | GROOVE

ミッション実現のために、現在仕掛かり中のプロジェクトを含め、様々なチャレンジをしていきます。中には時期尚早と思われるチャレンジもあるかもしれませんが、1mmでも理想に近づけるものであれば積極的にトライしていきます。

来年も今年と同様に、もしくはそれ以上の大変なこと、辛いこともあると思いますが、それはチャレンジに必ずつきまとうものであり、それこそが成長の糧になっていくと思います。

イノベーター・ジャパンのチーム力を信じて、2018年も様々なチャレンジをしていきたいと思いますので、その道のりを一緒に楽しんでいきましょう。

というわけで、2017年もお疲れ様でした!

よいお年を!

 

イノベーター・ジャパン募集職種一覧