B&Oでつくるオフィスの音環境

みなさん、オフィスにBGM流してますか?

イノベーター・ジャパンでは、「オフィスは最重要なオウンドメディアである」という考えで、ステイクホルダーにどう影響を与えるかということを日々考えながらオフィス空間をデザインしています。

もちろんオフィスが最も影響を与えるステークホルダーは社員。ということで、社員に会社のビジョンやバリューを感じてもらいつつ、最も気持ちよく働ける環境をつくろうと、毎週異なるチームがアイデアを出し合いながら試行錯誤しています。

オフィスにグリーンを配置するなど、視覚的な工夫はわかりやすいのですが、意外と影響度が高いのが聴覚的なところ。完全な静寂だと落ち着かなかったり、社員同士の会話が際立って集中できなかったりします。文字通り、環境のバックグラウンドとなる音環境をつくるのは意外と難しいです。

当社では、オフィスを移転して来た当初から、JBLのスピーカーを天井から吊り下げてBGMをかけているのですが、スピーカー以外にもアンプや配線など設置するのに結構なコストがかかります。また、スピーカーからの距離で聴こえる音量がかなり異なったり、アンプの近くだとファンが発生するノイズが気になったり、課題も多いのが実情です。

BANG & OLUFSEN

そこで、B&Oのワイヤレススピーカーをお借りして、より良い音環境がつくれないか試してみました。オーディオに詳しい人はご存知かもしれませんが、B&O(Bang & Olufsen)はデンマークの高級オーディオブランドで、音質はもちろんのこと、アルミニウムを削り出した筐体を使うなど、非常に高いデザイン性を持つのが特徴です。ちなみに、当社もデンマークにデザインオフィスを置いて現地のデザイナーと協業することがあるので、勝手に親和性が高いブランドと思ってます 笑

今回お借りしたのは、BEOSOUND 2という比較的大きな円錐状のスピーカーと、BEOPLAY M3というコンパクトなスピーカーの2台。いずれも電源コードを挿すだけで利用可能で、大掛かりな配線は一切要りません。BEOSOUND 2は、アルミボディの近未来的な造形で、インテリアパーツとしてもかなり目立ちます。

BANG & OLUFSEN
スマホアプリ

B&OのワイヤレススピーカーはBluetoothで繋ぐことも可能なのですが、WiFiに繋ぐことで専用のスマートフォンアプリから細かな設定をすることができます。当社のオフィスでは、BEOSOUND 2をセンタースピーカーとしてオフィス中央に、BEOPLAY M3をサブスピーカーとしてカフェスペースに設置し、業務で使用しなくなったMacBookをBGMプレイヤーとして運用してみることにしました。

少しだけ手こずったのが複数台のスピーカーへの音声出力設定でした。MacBookと2台のスピーカーを同じWiFiに接続すると、いずれのスピーカーも出力候補に出てくるのですが、複数を同時に選択することはできません。そこでスピーカーの「LINK」という機能を使います。BEOSOUND 2をメインスピーカーとして、BEOPLAY M3をLINKさせると、MacBookからはBEOSOUND 2に出力すれば両方のスピーカーを鳴らすことができます。

BEOSOUND 2

BEOSOUND 2

音の印象ですが、BEOSOUND 2は音の解像度が非常に高く、低音から高音まで綺麗に鳴ってくれます。ダイナミックレンジが広いためか、環境音に埋もれずに音が際立つため、比較的小さな音量でも十分に聞こえます。BGMとしてはこれが非常に有効で、音量が仕事の邪魔することなく心地良い音環境をつくることができます。

BEOPLAY M3

BEOPLAY M3

BEOPLAY M3はコンパクトなので、BEOSOUND 2には及ばないものの、BGMとしては十分な音量と解像度を持っています。カフェスペースに忍ばせることで、スピーカーの存在をアピールし過ぎることなく、ミーティングやリフレッシュタイムに最適な音環境をつくることができ、来客や面接の際にはボタン1つでBGMを止めることができます。

これまではオフィス=事務所という考え方が主流で、業務に直結する要素以外はあまりは意識されてきませんでしたが、今やオフィスの快適さによって、社員の満足度や採用の決定率が大きく変わる時代になりました。BGMも快適さを大きく左右する一要因なので、意識される企業が増えてくるかもしれません。新規に音響設備を整える場合、こういったワイヤレススピーカーは手軽にかつオフィスのデザイン性も向上してくれるため、有効な選択肢だと思います。

現在は毎週チームが選曲してBGMをかけているのですが、音楽だとどうしても個人の嗜好によって好き嫌いが分かれてしまうのが難しいところ。B&Oでは生産性の高まるBGM(!?)も研究されているみたいなので、今後色々と試してみたいと思います。

個人的には、BEOPLAY A1というポータブルモデルをキャンピング用に欲しいなと思ってます!

RISE@香港 2018 レポート

7/9〜12の4日間、香港で開催されたRISEに参加してきたので、その様子をざっくりレポートします。

What’s RISE?

2016年に初めて開催され、今年で3回目となるテックイベント。2009年にスタートし、世界最大のテックイベントと称されるWeb Summitからアジア版として派生した模様。

イベントのフレームはWeb Summitを踏襲しており、

  • 4つの大ステージで開かれるトークセッション
  • 企業スポンサードのワークショップ
  • スタートアップ企業の展示ブース

が主なコンテンツになっていた。

South by Southwest(SXSW)等のイベントとおおよそ似た構成だが、SXSWはプロダクトの披露がメインのお祭りイベントなのに対して、RISEは投資家とのマッチングはもちろん、急拡大マーケットのど真ん中で実際にビジネスのグロースを狙った鼻息の荒い参加者が多い印象だった。

印象的だったセッション

The China Internet Report

“Visible Hand”

アダム・スミスが提唱した「見えざる手」の理論に対し、中国では政府が方針を明らかにし、その通りに経済が動いていく。そのため、AIなど国の注力分野が非常に力強く急速に成長している。

日本で起きている「AIブーム」とは異次元のレベルで成長している。

From Tinder to Investor: The Story of Sean Rad

“You really have to love what you do”

The Next Frontier of Artificial Intelligence

中国搜狗社が開発するAIを使い、中国語のスピーチをリアルタイムに音声認識&英語翻訳し、英語の字幕がスクリーンに映し出されていた。

Building a Billion Dollar Company

“Traditional Smartphone”

折り曲げることのできるスマートフォンを手首に巻きながら、一般的なスマートフォンを過去のものとして語っていた。

日本からは、LINEの出澤氏とmixiの多留氏が登壇されていた。が、その他のスピーカーが大きなビジョンや最先端の技術を披露していたのと比較すると、既存事業のカイゼン計画程度のスケールに留まっており、インパクトに欠けているように感じた。せめてプレゼンは英語で行って欲しかった。

(同時通訳は入っていたものの、日本語でプレゼンが始まった瞬間に席を立つ来場者が多かった)

会場の様子

展示ブース

正確な数は把握していないが、おそらく100枠以上のブースに3日間日替わりでスタートアップ企業が入り、各々サービスのデモを行っていた。

地元香港の企業を中心に、アジア諸国の企業が多くを占めていたが、アメリカやヨーロッパ、特に南米や東欧の企業も多く出展していた。残念ながらその中に日本の企業を見つけることはできなかった。

アメリカORIG3N社のブースでは、無料でDNA検査を受けることができ、多くの人が集まっていた。後日専用のアプリに検査結果が送られてくるようなので楽しみ。

ワークショップ

Amazonは専用のワークショップスペースで絶えず開発者向けのawsワークショップを行っていた。

BRIGHTLINEによる、アイデアをアイデアで終わらせずに実行まで落とし込むためのワークショップに参加したが、耳の痛い内容が満載の有益なワークショップだった。

驚くことに彼らはそれらのリソースを無償で配布している。興味のある方はぜひアクセスしてみて欲しい。

Brightline Initiative | Bridging The Gap Between Strategy Design and Delivery

海外の大学や機関では同様に有益なリソースを無償で配布するケースが増えているが、もちろん全て英語で書かれている。英語を読めるのと読めないのでは、アクセスできる情報に大きな格差があることを再認識させられた。

ネットワーキング

RISEではネットワーキング(人脈形成)にもかなり力を入れている印象を受けた。

首に掛ける参加証にプリントされたQRコードを専用のアプリで読み取ると、簡単にコンタクト登録することができる仕組みになっており、会場のいたるところでスキャンする姿を見かけた。もう名刺交換の時代は終わったのかもしれない。

また、Night Summitと称して公式のネットワーキングパーティーが毎晩蘭桂坊(ランカイフォン)エリアで開催されていた。前夜祭では参加者を複数のグループに分け、一定時間毎に次の会場に移動して多くの参加者と知り合う仕組みになっている。

アルコールが回ると次第に移動が滞り、最後にはそのエリアの路上全体がパーティー会場と化していた。

世界中のスタートアップが集まり、国籍関係なく交流しているしている様子を見ていると、まさにこれからアジア市場が世界の中心になっていくのだなと感慨深かった。

残念ながらここでも日本人には一人も出会わなかった。

イケているポイント

国内でも多くのイベントが開催されているが、それらと比べて優れているUXをいくつかピックアップしてみた。

専用アプリ
他のグローバルイベントでも一般的になりつつあるが、やはりトークセッションのスケジュールや登壇者の情報を見たり、参加者同士で繋がったり、スマートフォンのアプリでできてしまうのは非常に便利。
未だにひたすら名刺交換を求められる国内のイベントはぜひ導入して欲しい。
メルマガ
当日のカンファレンスのまとめやお得な情報が、必要な情報を適切なタイミングで、さらにビジュアルを駆使したメールで送られてくるので、鬱陶しいという感覚が全くなかった。
動画アーカイブ
メインステージで行われたセッションが全てYouTubeにアップされている。参加者だけにしか見せないといったようなケチくさいことは言わず、有益なコンテンツを多くの人に公開し、本気でマーケットを盛り上げていこうという気概が素晴らしい。
RISE 公式YouTubeチャンネル
告知
会期が終わった途端、Webサイトは来年度の募集に切り替わり、先行割引チケットのお知らせが届いた。もちろん最もテンションが上がっているタイミングなので、「来年も行くぞ!」と申し込んでしまいそうになる。来年は行くなら出展社、もしくは登壇者として行きたいと思うので、まだ検討中ではあるが。

まとめ

RISEのために久々に香港に滞在したが、急拡大マーケットであるアジアの中心に世界中から人が集まり、非常に高い熱量を感じた。

一方、そこにほとんど日本人や日本企業の姿はなく、存在感の無さに大きな危機感を感じた。欧米諸国に「視察」に行くのは構わないが、忘れてはならないのは日本もアジア諸国の一つであり、目の前に巨大なマーケットが存在していることだ。

縮小する国内市場に閉じこもり、欧米の5年落ちのビジネスモデルでパイの奪い合いをすることはそろそろ終わりにし、自分達の持っている価値を見直し、アジア及びグローバル市場の中でどういう役割を担っていくのかを考える必要があるのではないだろうか?

ビジネスにおける視野の広さをレンズに置き換えて考えてみた

普段仕事をしていると、同じゴールに向かっているはずなんだけど全く話がかみ合わないなと思うことがしばしばある。見ている方角は同じなんだけど、おそらく見えている景色が異なっているのだろう。

それは、人によって視野の広さや焦点の深さがバラバラなことに起因していると思われる。

写真好きな方ならおわかりいただけると思うが、カメラを同じ方向に向けていても、取り付けるレンズの種類、絞りやシャッター速度によって撮れる写真は全く異なる。

同じようなことが日常生活やビジネスにおいても起きているのではないだろうか?

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カメラのレンズはおおよそ下記の4つに分けられる。

  • 標準レンズ
  • 広角レンズ
  • 望遠レンズ
  • マクロレンズ

参考: 個人的に愛用しているSIGMAレンズ

これらをビジネスにおける視点に置き換えると、ざっくりこんな感じだろうか。

標準レンズ
原寸大の人間として自分や相手の心を見つめる視点
広角レンズ
ステイクホルダーを幅広く見渡し、全体最適化を目指す視点
望遠レンズ
未来を見通してチャンスやリスクを先読みする視点
マクロレンズ
物事を緻密に分析し、細部に宿る神を呼び起こす視点

いずれかのレンズに優劣があるわけではなく、見るべき対象によってレンズを換えてあげる必要がある。

ビジネスの現場においては、役割や職種によって主に使うレンズが異なってくる。

例えば、エンジニアや研究者であればマクロレンズを使うことが多く、マーケティングや広報に関わる人であれば広角レンズを使うことが多い。経営者やデザイナーは全てのレンズをバランスよく使う必要がある。

そしてどの役割であっても標準レンズが基本で、全員が持っている必要がある。

見ている方角は同じだけど見えている景色が異なっている問題は、レンズが異なれば当然生じてしまう。人によって持っているレンズの種類も異なるし、シーンによってレンズを付け替えるのも経験とテクニックを要する。

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では、そのような前提でどうすれば話がかみ合うようになるか?

理想的には、全員が同じ種類のレンズを全て揃えることだが、それは現実的ではないので以下の2つの方法を考えてみた。

現像した写真をもとに話をする
各個人の見えている景色は異なるという前提で、それぞれ見えている風景を現像・プリントして他人にも見えるようにする。実際には、感じていること考えていることを、文章や絵、あるいは映像にすることで全員が同じ絵を見て話すことができるようになるはず。
標準レンズで見える風景をもとに話をする
あえて使うレンズの種類を限定し、全員が持っている標準レンズを使うことでおおよそ同じ風景が見えるようになるはず。役割や職種の違いを一旦忘れて、1人の人間としてどう考えるかを話し合えば大きくすれ違うことはかなり減らせるのではないだろうか。

大前提として、自分のレンズでは見えていない世界が常に存在していることを謙虚に認めることも忘れずに。

 

まずはこれらの方法で話がかみ合う環境をつくりつつ、各個人の成長のためには使えるレンズの種類を増やすことも考えなくてはならない。

自分の経験では、視野の広さは周りにいる人たちのレンズによって大きく影響される。視野の広い人のそばにいれば徐々に視野が広がり、その逆もまた然り。新しいレンズを手に入れるためには、そのレンズを持っている人に近づくのがいいと思う。

その際に気を付けなくてはならないのは、目と同じでずっと近くを見ていると近視になってしまう。周りを見渡したり、遠くを見たり、常に視点を動かし続けよう。

さらに、組織全体で視野を拡げていくためには、相手に欠けている視点がある場合には面倒くさがらずに指摘し、それを素直に受け入れられるオープンでフラットな関係性をつくることが基本ではないだろうか。

自分自身も自分のレンズに頼り過ぎることなく、メンバーの視点も複眼的に活用していくよう自戒を込めて。

 

p.s. 明るい標準ズームレンズが欲しいです!