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新型コロナウイルスが変える企業のあり方

先日、別記事で新型コロナウイルスが変える人間の生き方について書きましたが、併せて企業のあり方についても考えてみたいと思います。

今回の新型コロナウイルス騒乱で明らかになったことのひとつは、人間の健康よりも優先される事業などないということです。ウイルスの感染拡大を阻止するために、一部の業種には休業要請が出され、また一部の企業ではリモートワークを導入して既存の業務スタイルを大きく変えました。いずれも多大な経営努力で人間の健康を守ろうとしています。

社会の主体は企業ではなく人間です。これまで政財界では軽視されがちだったことが、改めて見直されてきたように思います。

新型コロナウイルスが変える人間の生き方で述べたとおり、これから人間の生き方がよりビジョナリーな方向に変わっていくと思います。それは好ましいことです。社会の主体である人間の変化に追随しなくてはならず、できない企業は自然淘汰されていきます。

そこでキーとなるのは企業の理念です。全ての企業は、社会に存在する意義=ミッションを持って起業され存続してきたはずです。これまでは、ミッションなんか無くても、金儲けをし、従業員を食わせていれば存続できたかもしれません。しかし、人間の生き方が変わろうとしている今、企業と人間がつながる最も重要な接点は理念にならざるを得ません。

企業の経営者は、掲げている理念が今後の社会に必要とされ共感を生むものなのか、今見直す必要があります。

大企業は、体力で危機を乗り越えられるかもしれないというメリットの反面、その船体の大きさゆえに方向転換するのに膨大なコストがかかるというデメリットがあります。

一方、中小企業、特にベンチャー企業にとってこのまま黙って危機を乗り越えることは難しいものの、得意の機動力で方向転換すれば大きなチャンスを得ることができます。まさにゲームチェンジのタイミング。

ちなみに、当社イノベーター・ジャパンは、昨年ミッションを以下のようにアップデートしました。

人の可能性を最大限に引き出しウェルビーイングな社会を実現する。

株式会社イノベーター・ジャパンのコーポレートミッション

当時(平時)はまだなかなか理解されづらい概念でしたが、この新型コロナウイルスによる危機を通して、社会全体が徐々にその方向に動いてきたように感じています。

当社が創業以来貫いてきた、テクノロジーとデザインによる事業変革、デジタルトランスフォーメーション(DX)はまさに今多くの組織に必要とされています。これまで蓄積してきたノウハウでアフターコロナの社会をつくる一翼を担うべく、いよいよ積極攻勢に出たいと思います。

近日中にDX関連の新サービスをリリース予定ですが、DXコンサルティング事業もこれまで以上に拡大しますので、従来のアナログ事業からの脱却にチャレンジされる際はぜひご一緒させてください。

リモートワークでしばらく使われていない東京オフィス
ビデオ会議の背景にお使いください👆
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アイデア

新型コロナウイルスが変える人間の生き方

新型コロナウイルスが中国武漢で確認されてからたったの半年で世界の様相が大きく変わってしまいましたね。どんなに影響力のある革命家でもこんなスピードでは絶対に世界を変えることはできないはず。人間の儚さと同時に、自然科学の強力さを改めて認識させられます。

みなさん、外出自粛や自宅勤務でこれまでとは異なるライフスタイルを強制され、少し飽きや疲れが出てきて、「早く元の生活に戻りたい」と思い始めていることではないかと思います。

しかし、残念ながら新型コロナウイルスが終息する目処は立っておらず、終息してもおそらく元の状態に戻ることはないでしょう。覆水盆に返らず。航海に喩えるなら、海の潮目が大きく変わってしまい、今まで目的地としていたところにたどり着くことが現実的でなくなってしまいました。どうしようもない。

数年前にグランズウェルというビジネス本がヒットしましたが、我々は文字通りGrand Swell(大きなうねり)の中にいます。大きなうねりの中では、それに逆らおうとしても体力を失うだけ。うねりに身を委ねるしか方法はありません。ダーウィンの進化論も示すとおり、変化に適合した者だけが生き残ります。

さらに、この変化は短期的なものではなく、おそらく何年もかかる長期的な変化になります。短距離走のように息を止めて乗り越えられるものではなく、長距離走のように呼吸と心拍を整えて臨む必要があります。

では、一人の人間としてこの変化をどう受け入れるか?

より良い道が開けたとポジティブに捉えるのが妥当だと思います。もちろん負の側面も山ほどあるけど、避けられないもの、自身の努力ではどうにもならないものは、それがベストだと受け入れるしかないからです。

元来人間は、自然界の中で、自然科学の法則に従って生きている一種の生物でしかありません。いくら立派な理想を掲げても、自然科学に反する理想は叶わないのです。これまで人工的につくられた理想を、みんなどこか違和感を感じながら追っていたような気がします。それが新型コロナウイルスによって、強制的にストップがかかりました。

社会のペースが緩慢になった今こそ、ひとり一人が自分の本音の理想を描き、それに向けて方向転換をするチャンスです。

決して元に戻ろうともがくのではなく、これまで見て見ぬ振りをし続けてきた自分の理想に向けて舵を切り、流れに身を委ねてみませんか?

人生、生きているだけでまるもうけ。

瀬戸内の夕暮れ
瀬戸内の夕暮れ 2019/8/8 ©Junya Watanabe
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アイデア

臨時休校をどう乗り越えるか

2020年2月28日、政府から全国の小中学校などへ臨時休校の要請がありました。私の住むエリアも3月2日から4月5日まで休校が決定したようです。

子供が家にいる≒どちらかの親が在宅しないといけないということになり、全国の共働き世帯はその対応に苦慮されていることと思います。

今回は新型コロナウィルスの感染拡大を食い止めることが目的(効果の有無はさておき)のようですが、今後様々な理由で休校になることは考えられるため、休校=働けないにならないよう根本的かつ社会的な仕組みの改善が必要ではないかと思います。

従来の社会制度は多かれ少なかれ、男性が勤めに出て女性は「専業主婦」として家庭に残るということが前提になっており、今回の政府の要請もおそらくその前提に立ち、躊躇することなく全国一律に出してしまったように見えます。

しかし厚生労働省の統計データによると、共働き世帯の割合は2018年時点で42.6%まで増え、女性の社会進出のトレンドを鑑みると今後も増え続けることは確実です。

日本国内の制度設計の弱点として、バックアップが考慮されていないことが多いことが挙げられます。効率重視でムダのない状態が良しとされてきたからか、設備も人員も「ちょうど」の状態に設定されていることが多くないでしょうか?

例えば、小学校の教員は担任の先生がちょうどの数揃えられているため、もし担任の先生が病欠すると欠員補充が大変で、先生も休みづらいという状況になります。しかし北欧などでは、人は当然病気になるという前提で常にバックアップの先生がいて、気兼ねなく休めるそうです。

バックアップは必要に迫られない限りムダに見えてしまうかもしれませんが、可用性の高いシステムには適度なムダが必要ということを認識することが重要です。

では、今後の共働きの家庭が同様の問題に対処するために、どのようなバックアップが考えられるでしょうか?

家庭のバックアップ

もし既にリタイアしている親族が近所に住んでいる場合、一時的に子供の面倒を見てもらうことができるかもしれません。

以前、仕事で中国と行き来していましたが、女性の社会進出は日本よりかなり進んでおり、その背景には祖父母が子(孫)育てに積極的に関わっている、というよりむしろ子育ては祖父母の役割という習慣があるようでした。

地域のバックアップ

現在都心部では近所付き合いが希薄になっていますが、昔を振り返ると、近所に住んでいる同世代の子供の家庭に毎日のように遊びに行き、時には晩御飯をご馳走になって帰ってくるといったことが多かったのではないでしょうか?

共働きの割合が増えているので当時と同じではないかもしれませんが、先述の家庭のバックアップと合わせるとなかなかの受け皿になるのではないでしょうか?

企業のバックアップ

企業が共働き世帯を直接的にサポートできることは限られているかもしれませんが、アイデア次第ではまだまだ改善できることも多いのではないかと思います。

当社イノベーター・ジャパンは、2016年から&donutsプロジェクトと題して、職住近接の働き方を実験的に推進しています。現在千葉県柏市と神奈川県茅ヶ崎市の2拠点にオフィスを開設し、近隣に住む方々を雇用しています。

人がいるところに仕事を移動 育児中女性が活躍する職住近接オフィス

月刊「事業構想」

その多くは育児中の女性であるため、子供の急な発熱等による欠勤を想定して、バックアップの仕組みを常に考えています。

  • 子供を連れてこられるオフィス環境
  • 緊急時に在宅で勤務できる環境

この2つがあることによって、これまで子供の急病や夏休みもチームで乗り切ってきた実績があるため、今回臨時休校が発表された際にも大きな動揺はありませんでした。特に子供を連れてこられるオフィス環境は、業務の継続以外にも子供の教育の観点でもメリットが多いと感じています。

長時間の通勤が前提となる都心のオフィスでは難しくても、職住近接だと実現できることが多く、実際企業&地域のバックアップとして機能しています。

新型コロナウィルスによる健康的・社会的な被害は何としても食い止めなければなりませんが、変化のきっかけとして捉え、これまでできなかったチャレンジをしてみてもいいのではないでしょうか。

バックアップはムダではなく、可用性の高い社会システムと、その上で暮らす人々のウェルビーイングを実現するために必要不可欠なものとして、身の回りを見直してみませんか?