KAOSPILOT JAPAN WEEKでの学び

2015/11/16からの1週間、デンマークのKAOSPILOTから校長のChrister Windeløv-Lidzélius氏と、プログラムディレクターのDavid Storkholm氏が来日し、KAOSPILOT JAPAN WEEKと題してワークショップやセミナーが開催されました。私もほぼ全てのプログラムに参加して、多くの学びを得てきました。 日本ではまだ馴染みのないKAOSPILOTですが、世界的に注目されるビジネスデザインスクールで、様々な国から新進気鋭の起業家の卵が集まっています。私も2015年2月に往訪して「Entrepreneurship in Japan」というテーマで話をさせてもらったり、5月には日本企業として初めてKAOSPILOTの現役生4名をインターンシップとして受け入れたり、色々と刺激をもらっています。 日本人で初めてKAOSPILOTを卒業した大本綾さんがこの夏帰国し、KAOSPILOTで学んだクリエイティブ・リーダーシップをベースに日本のポテンシャルを引き出す教育を提供するため、坂本由紀恵さん(事業構想大学院大学の同期)と株式会社レア(lære = 「学ぶ」を意味するデンマーク語)を起業しました。「日本のポテンシャルを引き出す」という点で我々イノベーター・ジャパンの理念とも共通するところが多く、私もボードメンバーとして応援させてもらっています。 クリエイティブ・リーダーシップ ワークショップでは、2日間かけて「リーダーシップ」を開花させる研修を実施しました。旧来の「リーダーシップ」の考え方とは根本的に異なり、自分が旗振り役となってチームをリードするのではなく、メンバーのクリエイティビティを活性化させるための場をつくり出すというアプローチで、ファシリテーションとマネジメントの要素が大きいかもしれません。ChristerとDavidはまさにこの2日間の「場」をリードし、私を含め参加者はみんな見事に学ばされてしまったのでした。 以前、デンマークに行った時にも感じた「教育」の捉え方の違い。日本では、正解を教え、間違えない状態にすることが教育であるのに対し、デンマークでは考え方を教え、自分で学べる状態にすることを教育を捉えているところに大きなギャップがあります。今回のワークショップでも同様に、お互いに肯定し合うことを実践し、そこからクリエイティブが膨らんでいくことを学びました。 その際に潤滑油として大きく機能したと感じたのは英語でのコミュニケーション。母国語でない英語でのコミュニケーションは、多くの参加者にとってハンディキャップであり、ある意味平等な状況をつくり出していました。また、日本語だと頭で深く考えず、口先だけの「それっぽい」コミュニケーションになりがちですが、英語だと一度頭の中でロジックを組み立てないとアウトプットできず、逆にそれが深く考えることにつながったと感じました。 たまには日常業務を離れて学び(インプット)に徹するのも良いなあと改めて感じた1週間でした。 ワークショップやセミナーを通して、刺激的な仲間、日本のイノベーションをリードする先生方に出会えたのも大きな収穫でした。 みなさんありがとうございました! P.S. Christer, David, Yukie and Aya, it was a super exciting week! I’d like to give a special thanks to you!

東京オリンピックのロゴ問題とデザイン業界の闇

東京オリンピックのロゴ、やはりボツにするみたいですね。 おそらく舞台裏は想像を絶するくらいドロドロなことになっているのでしょう。運営(権力)サイドも、従来は会議室に「身内」を集めて、「良きように」決めれば思い通りに事を進められたのに、インターネットによってそうはいかなくなってしまったことに気付きかなり焦ったはず。 今回のロゴデザインが云々というところは、何も影響を及ぼせる立場にいないので、正直どうでも良いのですが、自分も分野は違えど関わっているデザインの世界にこれほどまでにパクりが蔓延してしまうことに興味がある。 世の中のデザイナーやクリエイターは、人と同じことをするのが大嫌いで、オリジナルの何かを実現したいからその職業を選んだはず。しかし、好きで始めたデザインが、いつの間にか「仕事」になり、以前であれば頼まれてもしなかったパクりが横行してしまう。 権利侵害は良くないことはもちろんだが、元々尖っていた人をそこまで変えてしまう環境にも何か問題があるのではないかと考えている。 自分が主要因だと考えるのは「デザイン」に対するコンセンサスの低さ。日本において一般には「デザイン」は狭義のビジュアルデザインと認識されているが、本来は哲学や想いなどのコンセプトに基づき、何らかの目的を達成するための論理的な思考であると考えている。 こういったギャップが潜在的にあるため、クライアントとデザイナーの間で話が噛み合わないことが往々にして起こる。デザイナーにはコンセプトと目的だけ伝えて後は任せる、というのがベストなスタイルだと考えているが、多くの場合、発注段階で「赤基調で」とか「ここは丸く」などのビジュアル的なスペックを指示してしまったり、「こんなイメージで」とネットから拾ってきたイメージを見せたりする。 こうなってしまうと、デザイナーにできることはクライアントの指示に従い絵を描くくらいで、「デザイン」をする余地はほぼ無くなる。ラフ案を出してからも、ひたすらクライアントの「好み」に近づけるために修正を繰り返す。こういった案件を繰り返すうちに、もしかするとデザイナーの心はデザインから離れ、クライアントとの信頼関係が崩れ、やっつけ仕事になっていくのかもしれない。 佐野氏を擁護するわけではないが、事務所のアシスタントもそういった行為に手を染めてしまうあたり、業界全体の闇を感じてしまう。 しかしながら、私は本来のデザイン力が日本の持つ最も重要なポテンシャルの一つだと考えているので、デザインに対する正しい理解を深め、より高次元なデザインワークができる社会にしていきたい。 佐野氏とは個人的面識は無いが、起きてしまったことは清算して経験とし、デザイン業界にインパクトを与えるような復活劇をデザインしてくれることを期待したい。

Innovator Japan meets Scandinavian Design Thinking

5月の1ヶ月間、KAOSPILOTの4人の学生が、イノベーター・ジャパンでインターンシップを行いました。 KAOSPILOTは、デンマークのオーフス市にあるビジネスデザインスクールで、混沌とした状況(KAOS)の中で、パイロット(PILOT)のように道を切り拓く人材を育成することをテーマにしています。 彼らとの出会いは今年の2月、KAOSPILOTに在籍中の唯一の日本人、大本綾さんのご紹介で、事業構想大学院大学を修了した同期2名と体験入学させてもらいました。「日本のアントレプレナーシップ」というテーマでセミナーをさせてもらったところ、多くの学生に興味を持ってもらい、その内の4人が実際に日本にやって来ました。 今回のインターンシップのメインテーマは「日本における育児中の女性の労働環境の改善」。諸々の社会制度が整っている北欧と比較するとショッキングな状況だったようですが、北欧らしいユニークなアイデアを織り交ぜた、魅力的な事業計画をつくってくれました。 本プロジェクト以外にも、当社が運営するオープンイベント、InnoCAFE #5 北欧のデザイン思考 × イノベーションの企画もしてもらい、過去最多の方々が集まる大盛況なワークショップになりました。(TOKYO GRAPHIC DESIGNERSに当日のレビューを書いていただきました) 当社には外国籍の社員も数名いますが、デンマークから一度に4名のメンバーが加わることで、まさにお祭りのような1ヶ月でした。 初めての外国人インターンシップ受け入れということで、当初は社員の英語力やコミュニケーション力など不安があったものの、そんな心配は全く必要無く、一瞬で打ち解け、最後には別れを惜しんでみんなで涙のハグ。 改めて、人と人の信頼関係に言葉や国籍は関係ないということを実感しました。当社には一度も日本から出たことのないメンバーも多いのですが、その感覚を理解する良い機会になったようです。 [quote]インターネットの世界には国境は無いので、ワールドワイドにサービスを展開しないと意味が無い。そのためには多国籍チームで戦わないといけない。[/quote] という信念を持っているのですが、今回その道筋が見えてきたような気がします。 彼らにも褒めてもらえたように、やっぱり当社の一番の強みはチームワーク。個性豊かなメンバーだらけだけど、一致団結した時のパワーは素晴らしいと思う。 本当に夢のような1ヶ月間でした。