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アイデア ビジネス

金魚と水槽、人間と環境、バイオフィリアな社会

我が家のリビングには30cmサイズの水槽があり、1匹の金魚が住んでいる。

3年ほど前に夏祭りの金魚すくいで4匹の金魚をすくったのがきっかけだ。他の3匹は飼い始めてすぐに弱ったり、自ら水槽の外に跳ねて死んでしまったのだが、1匹だけ力強く生き残り、今は10cm超の巨大金魚に成長している。

しかし、その彼(彼女?)もある時から急に成長が止まってしまった。どうやら金魚は水槽のサイズがリミッターとなって成長が止まるメカニズムがあるらしい。

このメカニズムはとても興味深く、生物全般に共通して似たようなメカニズムがあるのではないかと考えている。

人間も、幼少期から青年期にかけて急成長し、成人期に入ると徐々に成長スピードが衰え、とあるタイミングで成長が止まり、衰えていく。ここで言う成長とは、物理的サイズだけでなく、精神的・経験的な成長についても同じことが言えるのではないだろうか?

成長期には身の回りの環境に無限の広がりを感じていたが、徐々に身の回りの全体像を理解し、最終的には心地の良い環境をつくり、そこに閉じこもってしまう。そのタイミングで成長が止まっているのかもしれない。

人間の集合体である組織、企業においても同様のメカニズムがあるように思う。ビジネスのドメインや、オフィスのサイズも金魚にとっての水槽のように成長のリミッターになっているかもしれない。

幸いにも、金魚と違って、人間は自ら環境を変えることができる。人も組織も、さらなる成長を望むのなら、積極的に新しいチャレンジをし、自らの行動フィールドを広げる必要がある。

以前から、社会で起きているあらゆる事象は自然科学の法則に基づいている、という仮説を持っているのだが、どうやらそれは「バイオフィリア」もしくは「バイオフィリックデザイン」という分野で、世界で注目され始めているらしい。(社会情報大学院大学で私が担当する講義にゲストでお招きしたparkERsの梅澤さん談)

イノベーター・ジャパンで実践しているビジネスデザイン、および組織マネジメントにも何らかのバイオフィリアを実装できないかと模索している。個人的に、アートやアート思考にも注目しているのだが、「art」という言葉自体に「自然の模倣」という意味があるらしい。

昨年書いた「自然とアート – ビジネスデザインの源」の解像度が徐々に高まってきた感覚を感じている。

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