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Innovator’s Transformation 2019

2019年もあとわずか。年々1年が短くなっていくように感じるのは気のせいでしょうか?

そんな一瞬で過ぎ去ろうとしている2019年(令和元年!)にも、イノベーター・ジャパンにとって重要な「Transformation」がいくつかあったので振り返っておきたいと思います。

Innovator’s Transformation 2019 ベスト5

#5 人事部発足

イノベーター・ジャパン 社内ワークショップ
イノベーター・ジャパン 社内ワークショップ

イノベーター・ジャパン創業10年目にして、ようやく人事部が発足しました。と言っても普通の「人事部」ではなく、「Human Experience」をデザインするチームです。

これまでは、私を含む経営メンバーが直接人事まわりの手続きや制度設計を行っていたのですが、社員数が増えるにつれかなりの時間を人事関連に費やしていることに気付きました。

もちろん人事は企業の最も重要な事項のひとつではあるのですが、それだけでは現状最適化にしかならないので、未来を洞察し、チャレンジする組織に変える(戻す)べく人事部を発足しました。

ちなみに今年入社した人事部長(?)は、私がたまに口にする抽象的な情報をうまく言語化してくれたり、プライベートでも研究開発をしてコードを書いていたり、どうやらタダ者ではなさそうです。

#4 &donuts湘南オープン

&donuts湘南
&donuts 湘南オフィス

イノベーター・ジャパンが展開する職住近接で育児や介護中の働き方を変えるプロジェクト「&donuts」。2016年に私の故郷でもある千葉県柏市で活動を開始したところ、あっという間にメンバーも増え、オフィスも増床しましたが、1拠点では限界に。

元々1拠点の人数は20人程度にして、複数拠点に展開した方が社会的なメリットが大きいだろうと考えていました。なぜなら、未だにパートナーの転勤を理由にキャリアを諦めないとならない人が多いからです。実際に&donutsでも同様の理由でリタイアするメンバーがいました。(彼女には地方に転居後も業務委託でお仕事をお願いしています)

2018年後半に2拠点目開設の計画が本格的になり、候補地を決めるべく各地でイベントを開催して&donutsのビジョンや価値観とそれぞれの街のマッチング度合いを確かめていました。最終的に決まったのは神奈川県の湘南エリア。自ら生活の地として湘南を選び、ブレない価値観を持ってキャリアを積み重ねてきた人が多いように感じました。

&donutsでは、ただ郊外で仕事ができればいいという受け身な方ではなく、脱都心の通勤に縛られない働き方を一緒に探っていける方にジョインしてもらっているので、価値観の一致は非常に重要です。

2019年3月に辻堂駅前のマンションの一室でスタートした&donuts湘南も、すぐに手狭になり、同年10月に茅ヶ崎駅前のオフィスに移転しました。また、つい先日&donutsプロジェクトがWork Story Award 2019の審査員特別賞を受賞し、さらなる追い風が吹きそうです。

Work Story Award 2019 審査員特別賞受賞
Work Story Award 2019 贈賞式

#3 インド事業開始

2019年5月 インドにて

イノベーター・ジャパンは創業当初からグローバル展開、というより非ドメスティックを強く意識しています。なぜなら、私が前職のサイバーエージェントで海外で働く機会をいただいてから、「日本で、日本人だけで、日本の顧客だけのために働くこと」に強い違和感を感じているからです。

当社に在籍しているインド出身のメンバーにアレンジしてもらい、今年5月に初めてインドを訪れました。以前ドラマ「深夜特急」で観たインドのイメージとは全く異なり、ITの社会実装が進んでいて、エリアによっては東京を凌ぐくらい都会化していたことに衝撃を受けました。

1週間の滞在の間にいくつかの企業を訪問し、その中の数社と実際にプロジェクト化の計画が進んでいますが、今年10月にまずCarbun8社との業務提携を発表しました。Carbun8社はインドのテレコム業界で経験の長いJain氏が立ち上げたベンチャーで、インドをはじめ周辺諸国の携帯の通信業者や機器メーカーにコンテンツを供給しています。

日本はモバイル通信環境においてはしばらく世界をリードしており、2G(ガラケー)の時代からモバイルコンテンツを開発し続けています。特にゲームコンテンツにおいて世界に誇れるレベルにあるのは、東京ゲームショウを見ても明らかです。

イノベーター・ジャパンはCarbun8社と提携し、日本に留まっている良質なコンテンツをグローバル市場に届けたいと考えています。まだまだ始まったばかりのプロジェクトですが、ジャパンをイノベートするための重要な試みになると思いますので、応援よろしくお願いします。

#2 Media DX / Open Media Suitesリリース

Media DX for Publishers

イノベーター・ジャパンは、主な事業のひとつとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を行っています。その中でも、メディア領域の経験は長く、創業から約10年間、メディアのDXをやり続けていたと言っても過言でありません。

メディアのDXと聞くと、「紙のメディアをWebメディアにするだけでしょ?」と思われるかもしれません。しかしそれは、よくあるDXとデジタイゼーションの混同で、本質ではありません。確かにWebメディア化も一つの側面としてあるかもしれませんが、DXによって事業の次元が変わっています。

これまでメディア事業というのは、コンテンツを売る、コンテンツを求めてくる特定の人々をターゲットとする広告を売る、というのがビジネスモデルでした。それがDXによって個人を特定し、行動履歴を蓄積できるようになると、コンテンツはむしろ集客ツールに近くなり、より高単価なサービスの販売や、サブスクリプション等のLTVを意識したサービス構成に変わり、ビジネスモデル自体が大きく変わってきます。

頭ではわかっていてもなかなか変革できない、あるいはシステムは構築したもののうまく運用できない、という企業を多く見てきたため、イノベーター・ジャパンはメディアのDXに付随するシステムや運用サービスをパッケージにして提供することにしました。このソリューション全体を「Media DX」、それを構成するコアシステムを「Open Media Suite(OMS)」としてリリースし、ただいま絶賛ご相談受付中です。

#1 CI/VIバージョンアップ

Innovator Japan
イノベーター・ジャパン 新ロゴ

イノベーター・ジャパンは、今年10月コーポレートサイトのリニューアルとともに、MISSIONやVISION等のCIと、ロゴマーク等のVIをバージョンアップしました。2020年に創業10周年を迎えるにあたり、今のうちから「身だしなみ」を整えておこう、というクリエイティブディレクターからの提案でした。

私の立場からすると、創業以来ともにしてきたCI/VIに手を加えるというのは、本当に変えてしまっていいのか、勇気の要る判断でした。しかし、企業は環境や社会という絶えず変化し続けているものの中で有機的に存在しているものであり、同時に人というまさに有機的な生命の集合体。むしろ変化しないことの方が異常であるのかもしれません。

新バージョンのCIはコーポレートサイトでご覧いただけるのですが、今回のバージョンアップでキーワードとなるのは「Well-being」です。これまで「豊か」と表現していた概念を、あえて「Well-being」と言い換えました。正直なところ、まだ日本では理解が普及しているとは言えず、まだ喉に引っかかる感じがあるかもしれません。実際、社内でも「意味が良くわからない」という意見が多く出ました。

しかし、そもそもベンチャー企業は(少なくとも当社は)未知の領域にVisionを掲げ、誰かの引いた道を歩くのではなく自ら切り拓く存在だと考えています。現時点で理解可能な概念だけでは決して未来は切り拓けないと思い、あえてまだ理解を得づらいけど未来に必要なワードとして「Well-being」を選びました。

私は今の日本は、均一の豊かさを追い求めた結果、多くの人が幸福感を感じていない状態になってしまったと考えています。本来、豊かさも幸福度も、人ぞれぞれ異なるモノサシを持っているはずで、他人に決められるものではないからです。

イノベーター・ジャパンでは、人それぞれの好奇心や探究心を生かし、各分野の専門パートナーと連携し、作り手がワクワクしながら生み出した価値を、それを気に入っていただけるお客様に届けたいと考えています。

働くということは、必ずしも義務や苦行ではなく、社会、しいては環境における存在意義ではないかと。適材適所で働けること、環境と自然にリンクしていることこそが究極の豊かさであり、Well-beingであるという理念に基づき、2020年も多動力を持ってチャレンジしていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!

この記事はイノベーター・ジャパンAdvent Calendar 2019の12/25(最終日)の記事です。

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ジェネレーションZのインターン生に聞いてみた

イノベーター・ジャパンでインターンシップとして一緒に働いている安藤さん(本名)に、デジタルネイティブな現役大学生のメディア環境について色々聞いてみました。

インタビューPodcastはこちら

安藤さんプロフィール

  • 岐阜県在住
  • 愛知県内の大学3年生
  • 20歳男性

デジタル機器利用について

  • 中学校で自分のスマートフォンを手に入れた。
    • フィーチャーフォン(ガラケー)は使った事がない。
  • 大学(デザイン系)でPCを使うようになった。
    • 主にAdobe系のソフト
    • オフィス系は論文でWordを使う程度で、ExcelやPower Pointはほとんど使わない。
  • キーボードよりもフリックの方が早く入力できる。

メディア・SNSについて

  • Instagram・LINE・Twitterを主に使っている。
  • Instagram
    • 写真を共有するだけでなく、様々な情報を検索するためのサービス。
    • プロフィールページの上位に表示される写真には気を遣っており、定期的に刷新し、不要な写真はアーカイブに入れて表示させない。
  • Twitter
    • ニュースを知るのはTwitterから。
    • ニュースサイトやYahoo!ニュース等のポータルは見ない。
  • Facebookは全く使わない。(アカウントさえ持っていない!)
  • SNOWは一時期流行ったが、今は全く聞かなくなった。

スマートフォン・タブレットについて

  • iPhone XRとiPad Pro(11インチ)を使っている。

iPhone

  • 日常のコミュニケーションツール
  • 電話としては全く使わない(アドレス帳3件のみ…)

よく使うアプリ

  • Instagram
  • LINE
  • マンガ系アプリ(少年ジャンプ、マガポケ)
    • 以前はコミック本・週刊誌を買っていたこともあるが、今はアプリのみ
    • 逆に書籍はKindleでは買わず紙で読む
  • Netflix(YouTubeはあまり観ない)

iPad

  • デザインツール
  • 大学入学時は紙とペンを使っていたが、デジタルの方が情報の保存性・共有性が高くiPadが重宝している。
  • 大学のノートは全てiPadで取っている。

よく使うアプリ

  • Noteshelf
  • Adobe Sketch
  • Adobe Draw

建築・インテリアデザインを専攻していて、当社の事業領域(ビジネスデザイン)に関心を持ってくれているため、価値観・課題感に大きな隔たりは感じなかったものの、メディア・デジタルツールの使い方については大きなギャップがありました。

特に、自分が最も利用頻度が高いGoogleやFacebookなどのサービスをほとんど使っておらず、情報収集のチャネルが全く異なる印象でした。

自分もデジタル機器はそれなりに使いこなしている方ですが、まだまだ知らない活用方法がありそうなので、引き続き若者に色々教えてもらおうと思います。

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日本はもはや後進国であると認めるが、先進国を目指すべきなのか

日本はもはや後進国であると認める勇気を持とう

ソフトバンクグループの孫正義社長がそう語ったそうだが、自分の実感値もおおよそ同じ。

日本に閉じ籠もっているとなかなか実感が湧かないかもしれないが、今まで「途上国」として勝手に下に見ていた国を訪れると、この指摘は間違っていないことがわかると思う。

ではなぜここまで後れてしまったのか?

それはやはり第三次産業革命、つまりIT革命に乗り遅れたのが致命傷だったと思う。

その原因は、多くの企業は国内市場のみの、従来型の折衝型ビジネスで成り立っているため、ITがそれほど大きな事業インパクトを与えづらい等諸々あるが、日本人に「楽したい」というマインドが薄い(あるのかもしれないが、良しとされない)ことが主因のような気がしている。

IT革命の立役者であるコンピュータ(自動計算機)は、「膨大で退屈な計算をしたくない」という怠惰さが開発の動機になったと言われているが、どの産業革命も実は「楽したい」というマインドが原動力になっていたように思う。

The Greatest Story Ever Told

未だに「楽せず時間をかけて頑張ることに価値がある」という根性論が支配しており、労働生産性とは全く正反対の方向に社会を導いていることは明白だ。

今、AIによる第四次産業革命が起きつつあると言われている。しかし、AIを活用するためには、情報がデジタルデータとして蓄積されていることが前提であり、日本においてはまずデジタルトランスフォーメーションが必要だ。既に周回遅れではあるが、一足飛びに「AI」を銘打ったツールだけ導入しても、中身がアナログでは生産性は上がらず、むしろコストが嵩むだけである。

そして、AI活用においても「どう楽するか」から考えないと生産性を高める方向には向かっていかない。

ところで、労働生産性を高めることは、人々の幸福度を高める上でも重要だが、「先進国」になってアメリカや中国と同じ土俵で張り合うことが、果たして我々の目指すべきゴールなのだろうか?

自分はそうではないような気がしている。

もしAIが社会を変革するのであれば、人の働き方や生き方が変わる事を見越し、どのような付加価値を生む国・地域・組織であるべきなのか? 答えの無い中でもビジョンを描かないと、いつまでも「後進国」であり続けるしかない。


昨今随所で「アート思考」という言葉を見かけることが増えてきました。「アート」という表現が、絵画や彫刻などのアート作品を想起させてしまい、自分とは縁遠いものと感じてしまう人もいるかもしれません。しかし、「アート」には「自然の模倣」という意味があり、要は「自然思考」と言えるのではないかと考えています。

人は自然の一部であると考えた場合、我々はどんな状態にいることが最も望ましいのか?

本能的に未来を描いてみてもいいのではないかと思います。