デジタル/アナログという言葉を「情報機器を使いこなせるか否か」といった意味で使われることが多いが、本来はビットのON/OFFで表現される白黒二値の世界をデジタル、白と黒の間を連続的に変化する世界をアナログと呼ぶので、ここではその定義で話をする。
自分の周りにいる色々な人を観察していると、とても優秀なのだがある時から急に成長が止まってしまう人が一定数いるような気がする。
皮肉なことに几帳面で真面目な人ほどその傾向が強い。
そこで以下のような仮説を立ててみた。
人は成長過程でいくつかの成功体験を積み重ね、その体験をもとに安心して活動できる領域をつくり上げる。しかし、さらなる成長のためにはその領域の外に新しい領域を見つけ、整備していかなくてはならない。
几帳面で真面目な人は、領域の境界線を明確にし、領域内をとても居心地が良いレベルに整備する。そのため、新しい領域を見つけることが、荒波の中を航海して新しい島を見つけることのように難しく感じてしまい、なかなか踏み出すことができない。
実際こんなケースがあった。
現在の課題を根本的に解決するためには、Aという状況をつくらなければいけないが、それには新たに人を採用し、フローを変えないといけない。それが実現するまでの間はしばらく過渡期的に「完全ではない状態」になる。であれば、根本的な解決にはならないが暫定的な処置をしつつ慣れた状態を続ける方が好ましいという判断をした。
まさに領域の拡大、つまり組織の成長が止まった瞬間だ。
一方、成長をし続けている人や組織はどうかというと、領域に明確な境界線を持たず、領域内も過剰な整備をしない。そのため、新しい領域を見つける際も航海に出ることなく連続的に領域が拡大していくイメージだ。
領域を明確にして白黒をはっきりさせるのをデジタル思考だとすると、領域を明確にせず連続的に領域の拡大ができるがアナログ思考となる。
デジタル思考・アナログ思考はどちらが良くてどちらが悪いということではなく、時と場合によって使い分ける必要がある。几帳面で真面目な人ほどデジタル思考に偏りがちなので、意識してアナログ思考してみると良いのではないだろうか。
イノベーター・ジャパンでは4つのVALUEを掲げているが、その1つに「CHAOS」というキーワードがある。物事のはじまりは必ずカオス状態から始まるので、カオスを恐れずに飛び込んで行こうというのが本来のメッセージだが、自分の領域を広げる際に発生する不完全な状態もカオスと呼べるかもしれない。
デジタル思考だとカオスは異常な状態となるが、アナログ思考だとカオスは当たり前にあるべき状態となる。
新しいことにチャレンジする時、アナログ思考は最も重要なマインドのひとつになるのではないだろうか。
イノベーター・ジャパンでは各職種ともカオスに飛び込むのがお好きなメンバーを募集してますので、ご興味ある方はお気軽にご連絡ください!