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ビジネスデザインにおける非言語情報の必要性

写真撮影はクリエイティブ脳の筋トレ 落合陽一が語るカメラへの愛情

人間が日常生活、特にビジネスで扱う情報は言語化され、その過程で多くの情報が削ぎ落とされている。一見効率的なようだが、削ぎ落とされた情報にこそ味があることが多い。

一方、写真や音楽などの非言語情報には味の成分が多く残されている。

その味こそがアートであり、生活に彩りを与え、新しいビジネスを考える時の発想にも繋がっている。

自分が写真が好きな理由の一つがそこで、一個人が知覚しているイメージをそのまま他人に伝えられる数少ない手段でもある。

最近のiPhoneはコンパクトな割にコンデジ以上に綺麗な写真を撮れ、日常使いのカメラとして理想に近いのだが、どこか人工的で思い通りの絵にならないのが惜しい。

ちょっと重いけど、自分も普段から一眼レフを持ち歩くことにしてみよう。

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自然とアート – ビジネスデザインの源

2018年も残すところあと1週間となりましたね。

今年は念願のキャンプデビューを果たし、関東近郊の色々な山で家族とテントで過ごしました。特に印象的だったのは、奥飛騨にある平湯キャンプ場。元々行く予定だった所が自分のミスで予約できておらず、たまたま現地で見つけた場所なのですが、サイトの雰囲気も良かったし、近くの平湯温泉が絶妙に気持ちよかった。

平湯キャンプ場(奥飛騨)

つい先日も、parkERsのクリエイティブディレクター城本さんと本栖湖(富士五湖)の浩庵キャンプ場でデイキャンプをしてきましたが、湖畔のキャンプも幻想的で森とは違った良さがありました。今回は残念ながら見えなかった浩庵キャンプ場からの富士山は、千円札にも描かれる有名な景色らしいです。(次回に期待)

浩庵キャンプ場(本栖湖)

なぜ突然キャンプに目覚めたかというと、子供のための自然体験という側面もあるのですが、以前から自然および自然科学の中にビジネスに応用できる様々なヒントがあると感じており、それを自らが感じて具現化したいと思ったからです。また、人工的な情報に囲まれ続ける都会から定期的に離れ、自らのアンテナの感度を取り戻したいという理由もあります。

一方、アートについても今年色々と研究し、これからアートこそがビジネスのキモになるという考えに至っています。ここで言う「アート」と「ビジネス」は、絵画などのアート作品を売り買いするという意味ではなく、人間の直感や根源的な感情に基づいた価値が商品やサービスになっていくだろうということです。

自分自身も以前はアートとデザインの違いについてあまり理解していなかったのですが、私が担当する社会情報大学院大学の講義でteamLabの猪子さんをお招きした時に伺った「アートが美しいを定義し、その定義に基づいてデザインがある」というお話しが非常にしっくりきて、それ以降「デザイン思考」の限界や「アート思考」の必要性について考えています。(これについては書籍化すべく、頭の中で整理していますので乞うご期待)

ところで「自然」と「アート」、どこか共通点を感じませんか?

ヒントは「人」。
人にも色々な意味があり、

  1. ヒトという生物としての人
  2. 社会人としての人
  3. ビジネスマン(生産者)としての人

などなど。人は日々情報をインプットし、それを何らかかの価値に変えてアウトプットする生き物です。しかし、その活動が2や3に偏り、1が疎かになっていませんか?

人と情報の概念

まさに自然はヒトへのインプットであり、そこからアウトプットされるものがアートであると考えています。

社会全体があまりにも論理的、左脳的になってしまったために、効率的ではあるかもしれないけれど、本来最も考慮すべき「人」やそれらを取り巻く環境のために必ずしもベストではない状況が多発しているように感じます。

イノベーター・ジャパンは「人のポテンシャル最大限に引き出す」ということをミッションに掲げていますが、そのために「自然」と「アート」は欠かせない要素だと考えています。同時に、当社が提供するビジネスデザインをそれらの定義に基づいた付加価値創造に進化させるべく、2019年に向かいたいと思います。

というわけで、皆さま2018年も大変お世話になりました!

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RISE@香港 2018 レポート

7/9〜12の4日間、香港で開催されたRISEに参加してきたので、その様子をざっくりレポートします。

What’s RISE?

2016年に初めて開催され、今年で3回目となるテックイベント。2009年にスタートし、世界最大のテックイベントと称されるWeb Summitからアジア版として派生した模様。

イベントのフレームはWeb Summitを踏襲しており、

  • 4つの大ステージで開かれるトークセッション
  • 企業スポンサードのワークショップ
  • スタートアップ企業の展示ブース

が主なコンテンツになっていた。

South by Southwest(SXSW)等のイベントとおおよそ似た構成だが、SXSWはプロダクトの披露がメインのお祭りイベントなのに対して、RISEは投資家とのマッチングはもちろん、急拡大マーケットのど真ん中で実際にビジネスのグロースを狙った鼻息の荒い参加者が多い印象だった。

印象的だったセッション

The China Internet Report

“Visible Hand”

アダム・スミスが提唱した「見えざる手」の理論に対し、中国では政府が方針を明らかにし、その通りに経済が動いていく。そのため、AIなど国の注力分野が非常に力強く急速に成長している。

日本で起きている「AIブーム」とは異次元のレベルで成長している。

From Tinder to Investor: The Story of Sean Rad

“You really have to love what you do”

The Next Frontier of Artificial Intelligence

中国搜狗社が開発するAIを使い、中国語のスピーチをリアルタイムに音声認識&英語翻訳し、英語の字幕がスクリーンに映し出されていた。

Building a Billion Dollar Company

“Traditional Smartphone”

折り曲げることのできるスマートフォンを手首に巻きながら、一般的なスマートフォンを過去のものとして語っていた。

日本からは、LINEの出澤氏とmixiの多留氏が登壇されていた。が、その他のスピーカーが大きなビジョンや最先端の技術を披露していたのと比較すると、既存事業のカイゼン計画程度のスケールに留まっており、インパクトに欠けているように感じた。せめてプレゼンは英語で行って欲しかった。

(同時通訳は入っていたものの、日本語でプレゼンが始まった瞬間に席を立つ来場者が多かった)

会場の様子

展示ブース

正確な数は把握していないが、おそらく100枠以上のブースに3日間日替わりでスタートアップ企業が入り、各々サービスのデモを行っていた。

地元香港の企業を中心に、アジア諸国の企業が多くを占めていたが、アメリカやヨーロッパ、特に南米や東欧の企業も多く出展していた。残念ながらその中に日本の企業を見つけることはできなかった。

アメリカORIG3N社のブースでは、無料でDNA検査を受けることができ、多くの人が集まっていた。後日専用のアプリに検査結果が送られてくるようなので楽しみ。

ワークショップ

Amazonは専用のワークショップスペースで絶えず開発者向けのawsワークショップを行っていた。

BRIGHTLINEによる、アイデアをアイデアで終わらせずに実行まで落とし込むためのワークショップに参加したが、耳の痛い内容が満載の有益なワークショップだった。

驚くことに彼らはそれらのリソースを無償で配布している。興味のある方はぜひアクセスしてみて欲しい。

Brightline Initiative | Bridging The Gap Between Strategy Design and Delivery

海外の大学や機関では同様に有益なリソースを無償で配布するケースが増えているが、もちろん全て英語で書かれている。英語を読めるのと読めないのでは、アクセスできる情報に大きな格差があることを再認識させられた。

ネットワーキング

RISEではネットワーキング(人脈形成)にもかなり力を入れている印象を受けた。

首に掛ける参加証にプリントされたQRコードを専用のアプリで読み取ると、簡単にコンタクト登録することができる仕組みになっており、会場のいたるところでスキャンする姿を見かけた。もう名刺交換の時代は終わったのかもしれない。

また、Night Summitと称して公式のネットワーキングパーティーが毎晩蘭桂坊(ランカイフォン)エリアで開催されていた。前夜祭では参加者を複数のグループに分け、一定時間毎に次の会場に移動して多くの参加者と知り合う仕組みになっている。

アルコールが回ると次第に移動が滞り、最後にはそのエリアの路上全体がパーティー会場と化していた。

世界中のスタートアップが集まり、国籍関係なく交流しているしている様子を見ていると、まさにこれからアジア市場が世界の中心になっていくのだなと感慨深かった。

残念ながらここでも日本人には一人も出会わなかった。

イケているポイント

国内でも多くのイベントが開催されているが、それらと比べて優れているUXをいくつかピックアップしてみた。

専用アプリ
他のグローバルイベントでも一般的になりつつあるが、やはりトークセッションのスケジュールや登壇者の情報を見たり、参加者同士で繋がったり、スマートフォンのアプリでできてしまうのは非常に便利。
未だにひたすら名刺交換を求められる国内のイベントはぜひ導入して欲しい。
メルマガ
当日のカンファレンスのまとめやお得な情報が、必要な情報を適切なタイミングで、さらにビジュアルを駆使したメールで送られてくるので、鬱陶しいという感覚が全くなかった。
動画アーカイブ
メインステージで行われたセッションが全てYouTubeにアップされている。参加者だけにしか見せないといったようなケチくさいことは言わず、有益なコンテンツを多くの人に公開し、本気でマーケットを盛り上げていこうという気概が素晴らしい。
RISE 公式YouTubeチャンネル
告知
会期が終わった途端、Webサイトは来年度の募集に切り替わり、先行割引チケットのお知らせが届いた。もちろん最もテンションが上がっているタイミングなので、「来年も行くぞ!」と申し込んでしまいそうになる。来年は行くなら出展社、もしくは登壇者として行きたいと思うので、まだ検討中ではあるが。

まとめ

RISEのために久々に香港に滞在したが、急拡大マーケットであるアジアの中心に世界中から人が集まり、非常に高い熱量を感じた。

一方、そこにほとんど日本人や日本企業の姿はなく、存在感の無さに大きな危機感を感じた。欧米諸国に「視察」に行くのは構わないが、忘れてはならないのは日本もアジア諸国の一つであり、目の前に巨大なマーケットが存在していることだ。

縮小する国内市場に閉じこもり、欧米の5年落ちのビジネスモデルでパイの奪い合いをすることはそろそろ終わりにし、自分達の持っている価値を見直し、アジア及びグローバル市場の中でどういう役割を担っていくのかを考える必要があるのではないだろうか?